ペットを亡くしたとき、人は予想以上の衝撃に襲われます。
元気だったのに突然亡くなってしまった場合はもちろん、長く病気を患っていたり、高齢で近く死が訪れるのを覚悟していた場合でもです。
いつかかならず死ぬことはわかっている、そうは言ってもやはり経験してみるまで本当のショックは想像できません。
亡くなってしまった後、誰もが程度の差はあれペットロス状態に陥ります。
タイトルに「ペットロスの予防」と書きましたが、ペットロスは防げるものではありません。
愛するものを亡くしたのだから、悲しみに暮れるのは当たり前です。
悲しむことも必要なことなのです。
中には悲しくて辛くて苦しくて、もうこの悲しみから逃れられることなんて一生ないと絶望してしまう人もいるでしょう。
その時に必要なのが、ペットロスについて「
知る」ことです。
ペットロスについて何も知らない場合、苦しみ・悲しみがどこまで続くのかわからず、先の見えない暗闇に囚われてしまいます。
周囲の人から「泣いてたらあの子が悲しむよ」と声を掛けられると、泣くことに罪悪感を覚えてしまいます。
余りの辛さに早くあの子のことは忘れようと努力してしまうかもしれません。
ペットロスについて知ることによって、それらが間違っていることがわかると思います。
そして今自分がどのような状態なのか理解することができます。
悲しみの何段階目にいるのかがわかれば、その先に希望が見えてきます。
このような悲しみ、苦しみの中にいるのは自分だけじゃないということがわかれば、孤独感が少し薄れるかもしれません。
立ち直れる日のために、何かできることはないかと少しだけ前向きになれるかもしれません。
そして、ペットロスの「
予防」というのは、ペットが元気でいるうちに、ペットロスについて「
知っておく」ことです。
ペットが亡くなったとき、これから自分の心が辿るであろう状態を予測することができる。
「我慢しないで泣いていい、思いっきり悲しんでいい」とわかっていれば、周りから何を言われようと心が揺らぐことなくその子のために悲しむことができる。
悲しみの次に、あの子のために「何かをすべき」であることがわかっている。自分に合った
グリーフワークを見つける余裕が生まれる。
悲しみにいつか終わりが来ることを知っておくことができる。
このように、予め知っているか全く知らないかでは立ち直れるまでの道筋が違ってきます。
そして知らないまま、間違った方法(無理矢理忘れるなど)を取ってしまった場合、一見立ち直ったように見えても、「
ペットロス【6】」で書いたように解消されない悲しみとして心に留まり続けます。
今はペットロスについての本もたくさん出版されていますので、色々な本を読んで知識を蓄えておいて下さい。
そして最後に一つ、葬儀の仕事をしている者として、ペットが元気でいるうちに亡くなった場合の葬儀や火葬の方法、それからお骨をどうするかなど家族みんなで話し合っておいて欲しいと思います。
家族みんなペットをかわいがる気持ちは同じなので、最後の見送り方やお骨についても同じ考えであると思いがちですが、意外と意見の別れるところなのです。
例えば亡骸は、生前十分かわいがってやれることは全てやったのだから市の火葬場で十分と思う人もいれば、家族と同じなのだから最期だけ動物扱いはしたくない、人間と同じようにお骨を自分の手で拾ってあげたい、と思う人もいます。
どちらも正解も不正解もない、それぞれの皆さんの考え方の違いですので、とにかくよく話し合って決めていただきたいと思います。
元気なうちに話し合って欲しいというのは、病気や高齢になってからだとお葬式の話題は縁起が悪くて出すのがイヤになると思うんです。
だからと言って亡くなってからだと、もう相談している時間もなく、悲しみに打ちひしがれて反対意見を言うこともできないまま後悔の残る見送りになってしまっては手遅れです。
最後のお見送りが納得できるものか、後悔の残るものかで、その後のペットロスの状態にも大きく影響があるものですので、普段から考えておいて欲しいと思います。
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